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座談会

くらしを守る政治のあり方

少子化と超高齢化が進む日本において、国の予算配分はこのままでよいのか。
「くらし」をテーマに、40代から60代の有権者を迎えた座談会の様子をお届けします。

  • Fさん 40代女性

    Fさん40代女性

  • Kさん 60代男性

    Kさん60代男性

連鎖する貧困と雇用環境の改善について

Fさん 40代女性

小学校5年と高校3年の子どもがいます。保護者同士の交流から、経済的に困難な状況の家庭は少なくないと実感しています。

水岡俊一

日本の子どもの7人に1人が相対的貧困状態で、貧困家庭の子どもがクラスに5、6人はいる計算です。教員時代、「道具を買えず部活に入れない」「積立ができず修学旅行に行けない」など、苦しむ子どもの姿がありました。目の前の子どもたちの支援だけでなく、貧困を生み出す社会構造そのものを変えなければならない。その決意で政治の道に入りました。

Kさん 60代男性

子どもの貧困の背景には、保護者の貧困があると思います。ひとり親家庭などは特に影響を受けやすいですよね。

水岡俊一

根本的な解決には、誰もが安心して働き、十分な収入を得られる環境を整えることが不可欠です。近年、非正規雇用が労働者全体の約4割を占め、賃金や社会保障制度上の格差が社会問題化しています。労働者の権利保護という労働基準法の精神に則り関係法令を整備する努力が必要です。例えば、同じ仕事なのに待遇が異なるなどを許さない仕組みを強化するべきです。

Fさん 40代女性

最近は、先生にも非正規が増えていると聞きます。次男が小学校1年時の担任は任期が1年で、翌年には異動してしまいました。

水岡俊一

教職員の非正規雇用の割合は増えていますが、最近では、生活が安定しないとの理由で、希望者が集まらない地域も少なくありません。その結果、人員が足りず、新年度になっても担任が決まらないという状況も起きています。

Fさん 40代女性

次男が2年生の時、担任が過労で休職し、後任がなかなか決まらなかったことがあります。1ヵ月ほど日替わり担任のような状態で、環境の変化が苦手な次男は夜も眠れず、泣き出す日もありました。長男の頃と比べ、この10年ほどでこうした例がずいぶんと増えたと感じます。人員を安定させるために、教育にもっと予算を割く必要があるのではないでしょうか。

水岡俊一

OECDの調査では、GDPに占める日本の教育予算の割合は、加盟34ヵ国中最下位です。「教育は大事」と誰もが言いますが、経済政策などが優先され、教育に切り込んだ議論はなかなか進みません。その結果、本質からずれた政策決定がされています。例えば、民主党時代に全世帯を対象とした「高校授業料無償化」は、政権交代後に所得制限が設けられました。国が学習権を保障し、費用を社会全体で負担する趣旨の制度が、家計支援へとすり替わってしまったのです。

Fさん 40代女性

振り回されるのは子どもたちです。教育は大事、と言うわりに優先順位は低いように思います。国政の場にいる方たちの実感値が薄いことも要因ではないでしょうか。

水岡俊一

教育現場の実態を知る立場として、長期的視野で教育予算を配分するよう訴えていかなければならいと思っています。

多文化共生とジェンダー平等について

Kさん 60代男性

労働人口の減少に対して、政府は外国人労働者を積極的に受け入れる方針を示しています。将来的に共に働き、暮らすのですから、異文化間の相互理解が重要だと思います。教育が担う役割も大きいのではないでしょうか。

水岡俊一

日本の義務教育では、希望する子どもは国籍を問わず受け入れることになっています。しかし、日本語を話せない子どもが増えているにも拘わらず、多言語を話せる教員の配置は極めて不十分です。

Fさん 40代女性

日本語を話せなかったり、障害を持っていたりする子ども一人ひとりに合った教育を受けさせるためにも、十分な人員確保が不可欠ですよね。

水岡俊一

現状では、十分な支援が受けられないまま通学できなくなり、義務教育すら受けずに成人してしまう外国人労働者の子どもが少なくありません。共に学ぶ環境を整えられるよう、まずはしっかりと予算措置をしていく。その上で、子どもたちの自己肯定感を高め、夢や目標を支える仕組みを教育政策に盛り込むことが必要だと考えています。

Fさん 40代女性

私たちの世代は、結婚や子育てで退職するのが当たり前でした。一度辞めると正社員での再就職は難しく、パートなどで家計を補うので精一杯。また、制度は整っていても復職後の長時間労働で子育てと両立できず、退職せざるを得なかったケースもあります。

Kさん 60代男性

以前勤めていた外資系企業の海外支部では、子育てとの両立に限界を感じ退職を希望した女性に対し、会社がすぐに話し合いの場を持ち、働き続けられる方法を共に考えました。社員の退職が企業にとって損失だという共通認識があるのです。一方で日本支部では、管理職比率を男女5対5とする会社の目標を大きく下回っています。

水岡俊一

日本には女性差別が根強く残っています。共生社会実現のためには、ジェンダー平等を重視する姿勢を政治と行政が率先して示し、子育てや介護、障害などの事情を尊重し助け合える職場作りを促進する必要があります。

ライフスタイルの多様化と社会保障について

Kさん 60代男性

私は年金受給者なので、身近な問題として年金に関心があります。

Fさん 40代女性

最近夫と「何歳くらいまで働くか」を話し合うことがあります。「年金は頼りにできないかも」という不安感から、70歳くらいまでは働くつもりでいます。

水岡俊一

少子化が進む中、将来的な年金財源は十分とは言えないでしょう。しかし、セーフティネットとして一定の保障は、政治が責任を持って提供すべきです。

Kさん 60代男性

定期的な収入があるのは大事ですよ!サラリーマンだった私にとって、毎月の給料がなくなった時の不安は想像以上に大きいものでした。額面は減っても、退職後も収入が保障されることは精神的な安定にも繋がります。

Fさん 40代女性

私の夫は大きな病気をしました。普段は社会保障の恩恵を感じる機会は少ないですが、それは実は幸せなことだと思います。病気や障害を持つ可能性は誰にでもあると認識し、社会の一員として社会保障による助け合いを「当たり前」と受け止められるようになる必要があると思います。

水岡俊一

同時に、膨張する医療費抑制のため、病気や介護のリスクを減らす予防医学を積極的に推進すべきです。そして、万が一個人では防ぎきれないリスクが発生した際に、人としての尊厳が守られた生活を維持できるようセーフティネットを社会全体で支える。このことが高齢化社会における、社会保障のポイントです。

Fさん 40代女性

子どもの頃から学校でしっかり学べば、意識の共有が進むのではないでしょうか。

水岡俊一

あらゆる社会課題の解決には教育が重要な鍵を握っていると考えます。日本の教育は、「年金は大事だよ」と答えを教えがちですが、「何のための年金かな?」と考えさせる教育が必要です。子どもたちの疑問を大切にし、想像力と事実を確かめる力をいかに養うか。そのために教員一人ひとりがじっくり考えられる余裕と力を持ち、工夫と研鑽を積める学校現場の実現に向けて、政治から働きかけることが私の使命だと思っています。

座談会を終えて・・・

Fさん 40代女性

若い世代や子どもたちの希望ある未来を支えようとの想いに共感しました。政策に込める「哲学」を大切にされていると感じました。初めは緊張しましたが、穏やかな人柄で安心感があります。水岡さんなら元教員として学校現場に関わってきた経験を活かし、本質を捉えた教育政策を進めてくださると期待しています。

Kさん 60代男性

国民の声を聞く姿勢が謙虚で信頼できると思いました。外国人労働者など、共生社会の実現に向け、教育を重要だとするお考えには非常に共感します。これをきっかけに私自身が有権者としてもっと積極的に政治に参加していこうと思いました。